バレンシアガ人気mall
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数年前、家の近くに嬉しいお蕎麦屋があった。三畳ほどの、カウンターだけの小さなお店で、ヒ人も入れば一杯になってしまう。若い職人さんがひとりで仕切っていて、かなりレヴェルの高い手打ち蕎麦を食べさせた。昼は十一時半から二時頃まで商売をしていったん店を閉め、五時頃に再度開店する。この中休みの間に、電車で二駅先の知合いのラーメン店に行き、打ち場を借りて夕方からの蕎麦を仕込む。狭すぎて自分の店では蕎麦を打つことが出来ない彼は、開店前と中休みに、二度そのラーメン店を訪れて、仕込みをさせてもらうのである。「夕方からの分も、朝仕込んでしまえばいいのに…」というのは素人考え。「やっぱり蕎麦は、打ちたてですから」。一事が万事こうだから、蕎麦の味にも心が出ていた。さらに驚いたのは、その店の名前を冠した日本酒が、純米酒と本醸造酒の二種類も置いてあったこと。聞けば、知リ合いの酒蔵に、自分の蕎麦に合うお酒を別注しているそうな。値段は、蒸脆一枚と同額の六百円。つまり、千二白円あれば好い気分になれる、いいお店だった。そんな主であるから、当然のように酒好きである。「良かったら」と奨めると、嬉しそうに干す。私か行くのは、昼食客が捌けた一時半頃だから静かだったけれど、夕方から夜にかけては常連で一杯になる。ある時、宵時分にお店の前を通ったら、既に満席で、主は常連から奨められるままに、飲みながらてんてこ舞いしていた。蕎麦屋とはいえこれでは飲み屋も同然だから、みんな長っ尻になるのだろう。ふと、「大丈夫かな?」という一抹の危惧が、頭を掠めた。思えばあれは、虫が知らせたのかもしれない。ある目、昼過ぎに行ったら閉まっている。その次の日も、また次も。「おかしいな…」と思いはしめた頃、主から電話が来た。酔った勢いの白転車でハンドルを切り損ね、猛スピードで電信柱に顔から突っ込んだという。何箇所か骨も折れてしまったので、蕎麦屋を畳んで実家で静養すると。「最後の蕎麦を打ちます」というので、様子を見に行くと、顔中に包帯を巻いた彼が、その身体で蕎麦を打ち、振舞ってくれた。露骨かな、と思ったけれど、今まで楽しませてもらったお礼を含めて、この時は「役立つ」現金を包んだ。お得なプレゼントガイドさらに詳しく